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2026.06.03

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健診結果を放置しないためのミニ講座

脂質異常症について

健診でLDLコレステロールや中性脂肪高値を指摘された方へ

健診で「コレステロールが高い」「中性脂肪が高い」と言われても、特に症状がないため、そのまま様子を見ている方は少なくありません。

「最近食べすぎていたからだろう」
「飲み会が多かったからだろう」
「運動できていなかったから、少し頑張れば下がるだろう」
「薬を始めると、ずっと飲み続けることになるのではないか」
「薬で数字だけ下げても意味があるのだろうか」

そう感じる方は多いと思います。

脂質異常症は、今すぐ痛みや苦しさが出る病気ではありません。
だからこそ、放置されやすい病気です。

しかし、脂質異常症で大切なのは、検査の数字だけを整えることではありません。
動脈硬化を進みにくくし、将来の心筋梗塞や脳卒中を防ぐことが大きな目的です。

怖がりすぎる必要はありません。
一方で、「症状がないから大丈夫」と考えすぎず、今の状態を確認し、来年の健診で良い結果につながるよう一緒に整えていくことが大切です。

 

脂質異常症とはどのような病気ですか

脂質異常症は、血液中の脂質のバランスが乱れた状態です。

代表的なものには、LDLコレステロールが高い状態、中性脂肪が高い状態、HDLコレステロールが低い状態があります。

LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれることがあります。
高い状態が続くと、血管の壁にコレステロールがたまりやすくなり、動脈硬化と関係します。

HDLコレステロールは、一般に「善玉コレステロール」と呼ばれることがあります。
血管にたまった余分なコレステロールを回収する働きに関係します。

中性脂肪は、体のエネルギー源になる脂質のひとつです。
食事、飲酒、体重増加、運動不足などの影響を受けやすい数値です。

 

脂質異常症は症状がないことが多い病気です

脂質異常症の多くは、自覚症状がありません。

血圧や血糖と同じように、LDLコレステロールや中性脂肪が高くても、日常生活で困る症状が出ないことがほとんどです。

そのため、健診で指摘されても、
「元気だから大丈夫」
「来年までに気をつければよい」
と考えてしまいやすい病気です。

しかし、症状がない間にも、血管の内側では少しずつ変化が進んでいる場合があります。
脂質異常症は、今の体調だけでなく、将来の血管を守るために考える病気です。

 

なぜ動脈硬化が問題になるのでしょうか

動脈硬化とは、血管がしなやかさを失い、狭くなったり詰まりやすくなったりする状態です。

動脈硬化が進むと、心臓の血管では狭心症や心筋梗塞、脳の血管では脳梗塞などにつながることがあります。

もちろん、健診で少し脂質を指摘された方すべてに、すぐ心筋梗塞や脳卒中が起こるわけではありません。
だからこそ、早めに状態を確認し、必要な対策を始めることが大切です。

脂質異常症の治療は、単に「LDLをいくつまで下げる」という数字合わせではありません。
将来の動脈硬化性疾患を防ぐための取り組みです。

 

「少し生活を見直せば大丈夫」と思う前に

健診前に外食が多かった、飲酒が増えていた、運動不足だった。
そのような心当たりがあると、「原因は分かっているから、まず自分で頑張ろう」と思う方も多いと思います。

その気持ちはとても大切です。
脂質異常症では、食事、体重、運動、飲酒などの見直しが大きな意味を持ちます。

ただし、自己流で頑張っていても、実際に数値が改善しているのか、どの程度注意が必要なのかは分かりにくいことがあります。

また、LDLコレステロールが高い場合、中性脂肪が高い場合、糖尿病や高血圧症がある場合、腎機能が低下している場合では、注意すべきポイントが変わります。

来年の健診で良い結果を目指すためにも、今年のうちに一度、現在の状態を確認しておくことをおすすめします。

 

脂質異常症の治療は、薬だけではありません

脂質異常症の治療というと、薬を飲むことだけを想像される方もいます。

しかし、治療は薬だけではありません。
食事、体重、運動、飲酒、喫煙、血圧、血糖、腎機能など、全体を見ながら考えます。

特に中性脂肪は、食事量、糖質、飲酒、運動不足、体重増加などの影響を受けやすい数値です。
LDLコレステロールは、体質や年齢、食事内容、他の病気の影響も受けます。

「何をどこまで頑張ればよいのか」は、人によって異なります。
無理な食事制限ではなく、続けられる改善を一緒に探していくことが大切です。

 

スタチンが心配な方へ

脂質異常症の薬として、スタチンという薬が使われることがあります。

週刊誌やインターネットで、スタチンに関する不安な記事を見たことがある方もいらっしゃるかもしれません。
薬に不安を感じるのは自然なことです。

大切なのは、薬を「良い」「悪い」と一言で決めつけることではありません。
その方の年齢、LDLコレステロールの値、糖尿病や高血圧症の有無、喫煙、腎機能、心筋梗塞や脳卒中の既往、家族歴などを考え、薬を使うメリットと注意点を確認することです。

スタチンは、LDLコレステロールを下げ、動脈硬化性疾患の予防を目的に使われる薬です。
一方で、まれに筋肉の症状や肝機能の変化などに注意が必要な場合があります。

そのため、当院では「薬を出して終わり」ではなく、体調や採血結果を確認しながら、必要性と安全性を一緒に見ていきます。

薬に不安がある方は、遠慮なくご相談ください。
不安を抱えたまま飲み続けるのではなく、納得しながら治療を進めることが大切です。

 

薬を始めたら、ずっと続けるのでしょうか

「脂質異常症の薬を始めたら、ずっと飲み続けることになるのでは」と心配される方もいます。

脂質異常症の治療は、短期間だけ数字を下げることが目的ではありません。
動脈硬化を予防し、将来の心筋梗塞や脳卒中のリスクを減らすことが目的です。

そのため、長く続けた方がよい場合もあります。
一方で、体重、食事、運動、飲酒、血糖、血圧などが改善し、全体のリスクが下がれば、薬の量や必要性を見直せる場合もあります。

大切なのは、自己判断で急に中止しないことです。
薬を続けるか、減らすか、変更するかは、数値だけでなく、全体のリスクを見ながら一緒に考えていきます。

 

数字だけを見るのではなく、血管を守る視点を大切にします

脂質異常症では、LDLコレステロールや中性脂肪の数字に目が向きがちです。

もちろん数値は大切です。
しかし、当院では数字だけを見るのではなく、その方の将来の血管を守るという視点を大切にします。

糖尿病、高血圧症、慢性腎臓病、喫煙、肥満、家族歴などが重なると、同じLDLコレステロールの値でも注意度が変わることがあります。

健診結果は、ひとつの数字だけで判断するものではありません。
全体を見ながら、今必要な対策を考えていきましょう。

 

健診で脂質異常症を指摘された方へ

脂質異常症は、怖がりすぎる必要はありません。
一方で、症状がないからといって放置してよい病気でもありません。

「最近食べすぎただけだと思う」
「薬はできれば飲みたくない」
「スタチンが心配」
「数字だけ下げても意味があるのか分からない」

そのような不安や疑問も含めて、一度ご相談ください。

健診結果をお持ちいただければ、LDLコレステロール、中性脂肪、HDLコレステロールだけでなく、血糖、血圧、腎機能、体重、生活習慣も含めて一緒に確認します。

来年の健診で良い結果につながるよう、無理なく続けられる方法を一緒に考えていきましょう。

 

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監修医師 加藤 利基
監修医師 加藤 利基
かとうホームクリニック 院長
医学博士 / 名古屋市西区医師会 会長 /
がん治療認定医機構 認定医