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2026.06.02

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健診結果を放置しないためのミニ講座

高血圧症について

健診で血圧が高いと言われた方へ

健診で「血圧が高い」と言われたものの、特に症状がないため、そのまま様子を見ている方は少なくありません。

「家ではそんなに高くないかもしれない」
「緊張して高く出ただけだろう」
「食事と運動を気をつければ、来年は良くなるだろう」
「薬を飲み始めたら、一生飲み続けることになるのではないか」

そう考えるお気持ちはとても自然です。
しかし、高血圧症は自覚症状がないまま続くことが多く、気づかないうちに血管、心臓、脳、腎臓へ負担をかけている場合があります。

大切なのは、不安になりすぎることではありません。
今の血圧の状態を知り、来年の健診で良い結果につながるよう、できることを一緒に考えていくことです。

 

高血圧症とはどのような病気ですか

高血圧症は、血管の中を流れる血液の圧力が高い状態が続く病気です。

血圧は、心臓が血液を送り出す力と、血管のしなやかさ、体の中の水分や塩分のバランスなどによって変わります。
一時的に血圧が高くなることは誰にでもありますが、高い状態が続くと血管や臓器に負担がかかります。

健診で一度高かっただけで、すぐ高血圧症と決まるわけではありません。
一方で、「一度だけだから」と放置せず、家庭血圧や再測定で普段の血圧を確認することが大切です。

 

血圧の「上」と「下」は何を表していますか

血圧には、「上の血圧」と「下の血圧」があります。

上の血圧は、心臓が血液を送り出すときに血管へかかる圧力です。
下の血圧は、心臓が広がって次の拍動に備えているときの圧力です。

どちらも大切な数値です。
上だけ、下だけを見るのではなく、年齢、持病、家庭血圧、他の健診結果などとあわせて判断します。

 

高血圧症は症状がないことも多い病気です

血圧が高いと、頭痛、肩こり、めまいなどを心配される方もいます。
しかし実際には、高血圧症があってもはっきりした症状がないことが少なくありません。

症状がないため、健診で指摘されても「元気だから大丈夫」と思ってしまうことがあります。
しかし、症状がないことと、体に負担がないことは同じではありません。

血圧が高い状態が続くと、血管には少しずつ負担がかかります。
その積み重ねが、将来の脳卒中、心臓病、腎臓病などにつながることがあります。

 

診察室血圧と家庭血圧

血圧は、測る場所や時間、体調、緊張、睡眠、飲酒、運動、気温などによって変わります。

診察室では緊張して高く出る方もいます。
反対に、診察室ではそれほど高くなくても、家庭や職場では高い方もいます。

そのため、普段の血圧を知るためには家庭血圧がとても参考になります。
朝と夜に決まった方法で測定し、記録しておくことで、より正確に血圧の状態を判断しやすくなります。

健診で血圧が高いと言われた方は、まず家庭血圧を測ってみることも大切です。
ただし、自己判断で様子を見続けるのではなく、記録を持って相談していただくと、今後の方針を一緒に考えやすくなります。

 

当院でおすすめしている家庭血圧の測り方

当院では、家庭血圧を測定される方に血圧手帳をお渡ししています。

通院を開始された多くの方が、家庭血圧測定に前向きに取り組まれています。
家庭血圧を記録することで、ご自身の血圧の傾向が分かりやすくなり、診察の際にも治療方針を一緒に考えやすくなります。

 

測定する時間

朝は、起床後に測定します。
排尿を済ませ、朝食前、できるだけ服薬前に測ることをおすすめしています。

夜は、就寝前に測定します。
食後、飲酒後、入浴後かどうかにこだわりすぎず、まずは就寝前に測る習慣をつけることを大切にしています。

毎日まったく同じ条件で測れない日があっても構いません。
大切なのは、無理なく続けて、血圧の流れを見ることです。

 

測定のポイント

足を組まずに椅子に座りましょう。
楽な姿勢で1〜2分安静にしてから測りましょう。
素肌、または薄手の肌着の上から、カフにすき間ができないようにぴったり巻きましょう。
できるだけ同じタイミングで測定すると、変化が分かりやすくなります。

血圧は1回ごとに多少変動します。
1回の数字だけで一喜一憂するのではなく、数日から数週間の流れとして見ていくことが大切です。

 

高血圧症を放置すると何が心配ですか

高血圧症で心配されるのは、血圧の数字そのものだけではありません。
血圧が高い状態が続くことで、血管や臓器に負担がかかることが問題です。

特に関係が深いのは、脳、心臓、腎臓です。

脳では脳卒中、心臓では心筋梗塞や心不全、腎臓では腎機能低下などのリスクに関係します。
また、高血圧症は糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病とも重なりやすく、複数の数値をまとめて確認することが大切です。

もちろん、健診で血圧が高いと言われた方すべてに、すぐ重い病気が起こるわけではありません。
だからこそ、早い段階で確認し、必要な対策を始めることが大切です。

 

血圧の薬を始めたら、一生やめられないのでしょうか

「血圧の薬を飲み始めたら、一生飲み続けることになるのでは」と心配される方は少なくありません。

そのため、薬はできるだけ飲まずに、塩分制限や運動だけで下げたいと考える方も多いと思います。
生活習慣を見直そうとする気持ちは、とても大切です。

一方で、血圧が高い状態が続いている間にも、血管や臓器には負担がかかります。
そのため、必要に応じて薬で血圧を安全な範囲に整えながら、同時に生活習慣を見直していくことがあります。

薬は、生活習慣の改善をあきらめるためのものではありません。
むしろ、血圧を安定させながら、塩分、体重、運動、飲酒、睡眠などを無理なく整えていくための補助として使うこともあります。

生活習慣の改善や体重の変化、家庭血圧の安定によって、将来的に薬を減らせる方、やめられる方もいます。
ただし、自己判断で急に中止すると血圧が再び上がることがあるため、薬の調整は必ず相談しながら行うことが大切です。

 

治療は薬だけではありません

高血圧症の治療は薬だけではありません。
塩分のとり方、体重、運動、飲酒、睡眠、ストレス、喫煙など、生活全体を見ながら考えていきます。

特に、塩分のとりすぎは血圧に影響しやすい大切な要素です。
ただし、急に厳しい制限を始めるのではなく、普段の食生活の中で続けやすい方法を探していくことが大切です。

薬が必要な場合もあります。
それは「生活習慣を頑張れなかったから」ではなく、血管や臓器を守るための手段のひとつです。

状態によって必要な治療は異なります。
まずは今の血圧の状態を確認し、ご自身に合った方針を考えることが大切です。

 

「来年の健診まで様子を見る」前に

健診で血圧が高いと言われても、症状がなければ「まずは自分で食事と運動を頑張ってみよう」と考える方は多いと思います。

その気持ちはとても大切です。
ただ、自己流で頑張っていても、実際に血圧が下がっているのか、どの程度注意が必要なのかは分かりにくいことがあります。

来年の健診で良い結果を目指すためにも、今年のうちに一度状態を確認しておくことをおすすめします。
早めに確認することで、生活習慣の見直しだけでよいのか、家庭血圧の記録を続けるべきか、薬を考えた方がよいのかを判断しやすくなります。

 

健診で血圧が高いと言われた方へ

高血圧症は、怖がりすぎる必要はありません。
一方で、症状がないからといって放置してよい病気でもありません。

大切なのは、今の血圧を知り、できることから始めることです。

健診で血圧が高いと言われた方、家庭血圧が高めの方、血圧が心配な方は、健診結果や家庭血圧の記録をお持ちください。
数値の意味を一緒に確認し、来年の健診でより良い結果につながるようサポートしていきます。

 

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監修医師 加藤 利基
監修医師 加藤 利基
かとうホームクリニック 院長
医学博士 / 名古屋市西区医師会 会長 /
がん治療認定医機構 認定医